こんにちは。Webサイト構築事業部のデザイナー衣笠です。
今回はWebサイトのコピーライティングの一部である「マイクロコピー」をテーマにお話したいと思います。
<目次>
マイクロコピー とは?
マイクロコピーとは、Webサイト上のボタンやフォーム周りなど細部のコピーを指します。
例としては、以下のような部分があげられます。
- ボタン(+ボタンの周辺)
- ログイン画面
- パスワード設定画面
- フォーム(お問い合わせ・決済など)
- 確認メッセージ
- エラーメッセージ
- 404ページ
マイクロコピー はメインのキャッチコピーとは違い、非常に細部のコピーにあたります。
その存在感の小ささから一見見落とされがちなコピーですが、
それがWebサイトのコンバージョンを高めるというから驚きです。
参考本にも、ユーザーにクリックして欲しいボタン周りに1行コピーを追加したところ、クリック率が大きく上がったなど、数多くの事例が掲載されていました。
参考サイトで学ぶマイクロコピー
マイクロコピーとは、どんなコピーなのか?
ここからは、実際のサイトを参考にマイクロコピーを見ていきたいと思います。
各事例ごとに、マイクロコピーとポイントを書いているので、ぜひ注目して見てください。
事例1 pairs
上記は、マッチングアプリ「pairs」の会員登録画面です。
マイクロコピー①「Facebookではじめる」
- アクション指向の言葉を使う
コピーには能動的な言葉を使用することで、ユーザーの行動を促すことが出来ます。
pairsの場合、「Facebookで登録」(単語のみのコピー)だと、事務的な作業で味気ない印象を抱きます。
しかし「Facebookではじめる」(能動的な言葉が入るコピー)であれば、ユーザーのイメージを想起することができ、より強く行動を促すことが可能です。(この場合は、新しい出会いをはじめるというイメージでしょうか)
ただし以下の場合は、ユーザーの負担を軽減するため、簡潔なコピーが適切だと言われています。
例外として、アプリの操作・選択ボタンなど、機能的な役割が強いボタン、使用頻度の高いボタンには、シンプルなコピーを用いた方が良いでしょう。出典:Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー,山本 琢磨,秀和システム
場面に応じて、能動的なコピー・簡潔なコピーを使い分けることが重要です。
マイクロコピー②「Facebookには一切投稿されません」
- 保証やアフターサービスで、リスクの低さを伝える
ユーザーが予期するリスクが無いことを伝え、登録の際の心理的ハードルを下げます。
「Facebookには一切投稿されません」は、とても小さなコピーですが、
この一文があるおかげで、「登録してもFacebookへ投稿されることもなく、友達に知られる危険はないのか…」
とユーザーを安心させ、行動を促すことが出来ます。
事例2 Amazonプライム
https://www.amazon.co.jp/amazonprime
上記は、Amazonの有料会員サービス「Amazonプライム」の無料体験の申込画面です。
マイクロコピー①「30日間の無料体験を試す」
- 「お試し」でユーザーの背中を押す
Amazonプライムの場合、まずは30日間の無料体験を提供し、サービスの魅力をユーザーに伝えます。
最初に支払いの判断が必要となるとユーザーは躊躇しますが、
「無料体験」であれば心理的ハードルは大幅に下がります。
毎月定額制のサブスクリプションサービスなど、継続して使用するサービスの場合、
ユーザーはその内容・価格を把握した上で、契約を検討したいと思っています。
まずはサービスの魅力を伝え、ユーザーに検討する時間を与えることで契約率のアップを狙います。
また、「お試し」には「返報性の原理」が有効に働きかけます。
人には返報性の原理というのが働いており、他人から何らかの施しを受けた場合、自分もお返しをしなければならないという感情を抱きます。先にこちらから無償で提供することで、その後、成約につながる可能性が、ぐんと高くなるのです。出典:Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー,山本 琢磨,秀和システム
「無料体験」や「無料サンプル」が有効なのは、この原理に基づいているんですね。
- 具体的な数字で伝える
数字を用いることで、信頼性の高い情報であることを示します。
この数字を効果的に使うには、ユーザーの行動段階によって書き方を調整する必要があります。
今すぐに決断が必要なとき
→人は具体的なことが気になり、「数字」に注目する
今購入を考えているユーザーに向けては、以下の様に書くのが適切です。
- 「30日の無料体験」
期間が長いことを伝えるため、数字が大きくなる単位を選びます。
(数字が小さくなる単位は× 参考例:「1ヶ月」)
- 「1分で申し込み」
すぐに申し込みが終わることを伝えるため、数字が小さくなる単位を選びます。
(数字が大きくなる単位は× 参考例:「60秒」)」
決断を急がないとき
→人は抽象的なことが気になり、「単位」に注目する
購入後のユーザーに向けては、以下の様に書くのが適切です。
- 「到着予定日 7~14日間」
(単位が小さくなる様に伝える。単位が大きくなる場合は×:1~2週間)
マイクロコピー②「無料体験後は¥500(税込)/月。いつでもキャンセルできます。」
- 保証やアフターサービスで、リスクの低さを伝える
無料期間終了後の支払いの確約・契約期間の縛りが無いことを事前に伝え、
ユーザーの不安を軽減しています。
事例3 Udemy
https://www.udemy.com/course/microcopy-writing/
上記は、オンライン学習サービス「Udemy」の購入画面です。
マイクロコピー①「この価格で購入できるのは、あと4時間!」
- タイミングワードを使う
Udemyの場合は、割引価格の適用に時間制限を設けています。
このように、「あと〇時間だけ」や「今すぐ」などのタイミングワードを使用することで、ユーザーが行動を後回しにするのを防ぎます。
ユーザーが一度サイトを離れてしまうと、再度サイトへ呼び戻すのは困難なため、
今購入してもらえる様に促しています。
以下に、タイミングワードの参考例をあげてみました。
- 通販番組「放送後30分だけ特別価格でご提供」
- スーパーのセール「毎月5のつく日は、5%オフ」
- 映画館「毎週水曜日はレディスデー」
タイミングワード は、テレビや街中で見かけることも多いですね。
マイクロコピー②「30日間返金保証」
- 保証やアフターサービスで、リスクの低さを伝える
「講座に興味はあるものの、講座内容が合わなかったらどうしよう」
「購入したものの、続けられなかったらどうしよう」
といったユーザーの不安を取り除き、行動の後押しをします。
事例4 ライフネット生命
https://www.lifenet-seimei.co.jp/
上記は、生命保険会社「ライフネット生命」公式サイトTOPページのお問い合わせ部分です。
マイクロコピー①「無料で10秒見積もり」
- 具体的な数字で伝える
数字を使用し、すぐに見積もりが完了することを伝え、ユーザーの心理的ハードルを下げます。
マイクロコピー②「無料で資料請求」
- ボタンラベルでは利益を伝える
ボタンラベルでは、ユーザーがクリックしたくなる利益を伝えることが重要です。
様々なワードの中でも、「無料」はユーザーの目を強く惹きつけ、行動を促す最強ワードです。
ただし、使用する際には注意が必要です。「無料」が有効なのは、
ユーザーがお金を払ってでも体験したい・手に入れたいサービスやコンテンツの場合に限ります。
また、参考書では治療院向けのウェブサービスを提供する会社の事例があり、
資料請求ページのマイクロコピーを、
「資料を無料ダウンロード」→「無料で資料をダウンロード」としたところ、
資料請求ページの成約率が1.5倍になったという例もありました。
事例5 yappli
上記は、アプリ開発・運用・分析プラットフォームサービス「yappli」のTOPページです。
マイクロコピー①「継続率99%」「400社導入」
- 社会的証明の原理を使う
人は、「大勢が下した判断が正しい」と考える傾向があると言われています。
通販で高評価のレビューが多い商品を選んだり、飲食店ではお客さんで賑わっているお店を選んだり、
初めて何かを判断するときは、大勢が下した判断を信頼性の高い情報とみなします。
yappliの場合は、「3分で分かる資料ダウンロード」ボタンの周りに、
「継続率99%」「400社導入」というコピーを入れています。
コンバージョンボタンの近くに具体的な数字を伴う実績(社会的証明)を載せることで、ユーザーに安心感を与え、クリックを促しています。
マイクロコピーの最適化には徹底したデータ分析が必要
マイクロコピーはとてもシンプルなコピーです。
高度なライティング技術も独創的なアイデアも必要ありません。
書こうと思えば、誰でも書くことが出来ます。
しかし、このマイクロコピーを効果的に使うには、何度も検証を重ねなくてはいけません。
数多くのコピーを用意し、どれが優れているかを繰り返し検証していった結果、最適なマイクロコピーが生まれます。
最後に
今回は、実際のサイトを元にマイクロコピーの分析を行いました。
知れば知るほど興味深い、マイクロコピーの世界。
これからWebサイトを見るときは、どんなコピーが書かれているか、注目していきたいと思います。
記事執筆にあたり参考にした書籍
書籍名:Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー
著者 :山本 琢磨
出版社:秀和システム