こんにちは。クラウドソリューション事業部の本田です。先日開催されましたAWS re:Invent 2023ですが、現地で参加してきました!色々とブログでアウトプットしていこうと思います。まずは第一弾ということで、AWS CEOのAdam SelipskyによるKeynoteをまとめていこうと思います。
AWSの現状について
まずはAWSの現状や、他のクラウドサービスとの比較について語りました。ここでの話は聞いたことのある内容が多かったですが、他のクラウドと比べてAWSが持つリソースがいかに圧倒的であるかを再認識できました。
・イノベーションとパートナーシップの機会を求めて大手企業、新興企業など様々な企業がAWSを利用している
・機密な情報を扱う企業、ユニコーン企業の80%がAWSを利用
・Amazon.comの運用を始めた時に、サービスの運用、管理をすることの大変さを痛感
・またサーバーの管理などがイノベーションの妨げになっていることも感じた
・他のクラウド企業と比べてAWSが圧倒的なリソースを持っている
・冗長性、耐障害性も桁違いである
S3の新サービスとGravtion 4の発表
AWSの代表的なサービスであるS3について触れ、比較的安定したサービスであるS3に新サービスが出ることとまたGraviton 4の発表がされました。GravitonのSDPを取得した弊社としてはGraviton 4楽しみです!
・2006年にS3の提供を開始しその後も大量のストレージを追加
・ストレージなので再発明する必要はないと思っていたがストレージへのアクセスパターンが変わってきている
・金融、広告などリアルタイムな情報へのアクセスが多い
・より低レイテンシーのクラウドオブジェクトストレージを提供する新しいストレージクラスAmazon S3 Express One Zoneの提供
・最新世代のGraviton 4の発表
・Graviton 4と比べてもよりエネルギー効率が高いものになっている
AWSにおける生成系AI
話はここから生成系AIの話になります。今回のre:inventでの大きなテーマとなりました。
・生成系AIには3つの層がある
・最下層 言語モデルなどを学習させる環境
・中間層 Amazon Bedrockなどアプリケーションからアクセスできる環境
・最上位層 構築されたアプリケーション、専門知識がなくても使える(Amazon Q、codewhisperなど)
エヌディビアとのパートナーシップ
ここからその生成系AIの基盤を支えるエヌビディアのCEOが登場し新しいパートナーシップを発表されました。
・13年以上にわたってエヌビディアと協業し、高性能GPUインスタンスをクラウドに提供
・機械学習、ゲーム、AIワークロード向けにコスト効率の高いインフラを提供し、1つのクラスタで最大2万GPUまで拡張できる
・エヌビディアは、スループットの向上とコスト削減を実現するL4とH 200を含む新しいGPUインスタンスによって、ジェネレーティブAIワークロードのための先進的なインフラを提供するために提携を拡大
・NVIDIA AIスタックやNEMO LLMを含む加速コンピューティングライブラリを統合し、新しいマルチノードNVLinkを備えた最新のNVIDIA 200 Grace-Hopperスーパーチップをクラウドに導入
・AWS NitroとEFAの強力な組み合わせによるウルトラクラスターの実現や、NVIDIAとの提携によるAWSへのNVIDIA DGX Cloudの導入によるAIの進化
・大規模な言語モデルのトレーニング時間とコストを削減し、パートナーや顧客と協力してカスタムAIモデルを構築し、それらをすべてAWS上で展開できる
Anthropicとのパートナーシップ
話は引き続き生成系AI関連の内容が続き、それに関連する新サービスもいくつか発表されました。
また言語モデルを開発しているAnthropic社のCEOも登場し、パートナーシップを結んだことも発表されました。
・AIモデルのAnthropicとの協業を発表し、責任あるAI開発を強調した
・EC2 Capacity Blocks for MLを発表し、顧客が短期間の機械学習ワークロードのためにGPU容量を確保できるようにした
・TrainiumとInferentiaの第2世代チップ、Neuronソフトウェア開発キットとAmazon SageMakerマネージドサービスの進化を発表した
・Amazon Bedrockの立ち上げについて語り、言語モデルもAPIのように様々なものに簡単にアクセスできるようにする必要がある
・言語モデルによって、要約が得意、推論が得意など様々なモデルがある
・その中でモデルプロバイダーであるAnthropic社との協業を開始
・OpenAIの元従業員によって設立されたAnthropic社は、Claudeと呼ばれる強力なAIモデルを開発し、フォーチュン500社の半数で使用されている
生成系AIの革新、カスタマイズと利用ポリシー
生成系AIモデルの革新とカスタマイズについて語り、企業にとっての利点を強調するとともに、AI技術の安全で責任ある開発を促進していると述べていました。ファイザー社の事例ではAWSが支援していた内容も語られていました。またAWSはスキルギャップを埋めるためにクラウドコンピューティングとAIスキルの提供に投資しているとも述べており、教育受けてみたい。。。という気持ちになりました。
・ファインチューニング、検索拡張世代、継続的な事前学習などの技術を通じて、生成AIモデルの革新とカスタマイズについて語り、企業にとっての利点と能力を強調
・ 生成系AIとAWS Bedrockを搭載したデルタ航空の新しいカスタマーサービス・ツールは、会話型のセルフサービス体験を提供し、顧客満足度を向上させている
・荷物を何個持ち込める?猫をジャマイカに連れていける?などの質問に回答できる
・Agents for Bedrockは社内システム全体で複数ステップのタスクを実行することを目的としている
・AWSは、生成系AI技術の安全で責任ある開発の促進に注力しており、アプリケーションを保護し、責任あるAIポリシーを遵守することを保証するための新機能を導入している
・EC2、RDSなどと同様にIAMを使って制御が可能で、またデータがインターネットに出ることはない
・安全に利用するためのGuardrails for Amazon Bedrockを発表
・回避させたい自然言語を設定できる
・例えば銀行では投資アドバイスの提供を控えるように設定できる
・一貫したレベルでのアプリケーションの保護が可能となる
・ファイザーは、13億人の患者に医薬品とワクチンを投与しており、AWSとのパートナーシップにより、イノベーション、コスト削減、研究開発プロセスの加速を実現
・ファイザーはAWSのクラウドサービスとAIを活用し、COVID-19ワクチンの開発と流通を加速させ、製造とサプライチェーンのオペレーションを改善している
・ AWSは、スキルギャップを埋めるためにクラウドコンピューティングとAIのスキルを提供することに投資しており、2025年までに2900万人を無料で訓練することを約束
・イノベーションとキャリア準備を支援するAWS Cloud InstituteやAI Readyを立ち上げている
生成系AIのシステムへの統合
ここからは生成系AIをシステムやサービスにどのように結合するか話していきます。例としてAmazon CodeWhispererやAmazon Qのようなサービスが触れられています。特にAmazon Qは衝撃的でした。AWSでの構築のお供に、はたまた社内のワークフローを円滑に回してくれそうです。
・Amazon CodeWhispererはリアルタイムでコードを提案し、個人で使用するために提供されている
・新しい開発者を雇ったしても社内のコードを理解するのに時間がかかりすぐには能力を発揮できない
・Amazon CodeWhisperer customization capabilityは、内部のコードベースに基づいてカスタマイズされたコード推奨を可能にする
・Amazon Qは、企業の要件を満たし、既存のID、ロール、権限を尊重するように設計されている
・Amazon Qは、AWSで環境を構築するためのエキスパートアシスタントである
・17年間AWSについて学んでいて、AWS上での最適なワークロードの考え方、操作方法を提案してくれる
・IDEにはCodeWhisper、チャットやslackなどでAmazon Qを使って学習、ソリューションの構築ができる
・ Amazon Qは、推奨事項の提供、エラーのトラブルシューティング、ワークロードの最適化、コード開発の支援、アプリケーションへの新機能追加プロセスの自動化を行い、顧客の時間と労力を節約してくれる
開発者を支援する生成系AI
Amazon Qはコード変換などで開発者の時間を節約し、またAmazon QuickSightと結合することでビジネス・インテリジェンスを提供してくれます。例としてドイツの自動車メーカーBMWが登場し顧客体験を向上させるためにAWSを活用している例を紹介してくれました。
・開発者はメンテナンスとアップグレードに多くの時間を費やしているが、Amazon Q Code Transformationはアップグレードとマイグレーションを支援し、開発者の時間を大幅に節約することができる
・例えばプログラミング言語のバージョンアップの際にコードの変換もできる
・Amazon Qは、ビジネス上の質問に対して、素早く、正確で、適切な回答を安全かつ個人的に提供するように設計された新しいAIアシスタントであり、Amazon QuickSightと統合できる
・直近どこで売上が高いか、ある図がほしいというと答えてくれる
・アマゾンは、ビジネスアナリストやエンドユーザーを支援するために、ジェネレーティブAIやセキュリティに焦点を当てたAmazon QやConnectのような、業界やユースケースに特化したサービスを導入している
・BMWが、データおよびAWSのクラウド技術をどのように活用し、開発を加速させ、ワークフローを改善し、製品ポートフォリオ全体にわたって顧客に一流の体験を提供しているかについて語る
・ BMWは全世界で2000万台以上の車両を保有する最大のコネクテッド・フリートであり、AWSを活用して1日あたり120億以上のリクエストを管理している
・開発プロセスを合理化し、顧客のために新機能を生み出す革新的な技術に取り組んでいる
Zero ETLでデータをさらに活用できるように
最後にZero ETLの未来のビジョンを発表されました。ビジネスにおけるデータの価値を最大化するために障壁となるデータの変換を不要にして、より企業がデータを活用できる未来を語っています。
・データはAIで成功するために不可欠であり、カスタマイズ、価値、イノベーションのために不可欠
・AWSは、ソースからデスティネーションへデータを接続するだけでZero ETLの未来像を紹介
・DynamoDBのOpenSearchとの新しいゼロETL統合を発表し、複雑なデータパイプラインなしでトランザクションデータのリアルタイム分析と検索を簡単に実行できるようになった
・Amazon Data Zoneは、機械学習を使って自動的にメタデータを追加し、データセットのビジネス説明を提案することで、組織全体のデータのカタログ化、発見、共有、管理を支援
・データへのアクセスコントロールも実現し、データを適切な方法で適切な人々にのみ使用できるようにすることができる
・ AWSは、デジタルデバイドを解消し、十分なサービスを受けていない地域に高速で信頼性の高いインターネットアクセスを提供するため、世界的な高速衛星ネットワークであるProject Kuiperを含め、データガバナンス、接続性、セキュリティを提供する革新的な取り組みを行っている。
まとめ
1発目のKeynoteでどんな内容がくるかと思いましたら、生成系AIの話題がほとんどでした。正直そこまでキャッチアップができていたわけではなく一回目を聞いた際には理解できない内容が多かったですが、2回、3回と繰り返し聞いてみると内容も理解でき、AIをさらに使いこなすためにデータが必要であり、そのデータを安全に適切にアクセスできるようにする必要が理解できました。どの企業にもデータはあると思いますが弊社もですが活かしきれていないケースが多いのではないのでしょうか。それらをAIと連携することによって新たなビジネスを生むことや、既存のビジネスの発展に繋げていくことが可能になるかと思います。企業活動においてAIは必要不可欠なもので、避けては通れないものであると認識させられたKeynoteでした。